つるバラとは
羽衣(はごろも)
つるバラとは広義ではつる性のバラ、つまりシュートと呼ばれる長い枝が2m前後からそれ以上に長く伸びるタイプのバラをいいます。
日本語で「つる」というと、アサガオやクレマチスのように自分から巻き付いていくイメージがありますが、つるバラはそうではありません。
単に枝(シュート)が長く伸びるだけなので、人間様がちゃんと誘引してあげないと、沢山の花を咲かせることができません。
ちょっと誤解を生む表現ですね。
さて、「つるバラ」と言うとどんなバラを思い浮かべますか?
やっぱりあの超有名なゴージャスなやつ、そうそうピエール・ド・ロンサールあたりでしょうか...
私もバラを育ててみる前は、つるバラといったらあのタイプだと思っていました。
でも実際はもっといろいろなタイプがあるんです。
バラの系統図などを見てみると、「つるバラ」と言った場合は一般的にモダンローズ(現代バラ)のつる性バラを指すようで、ピエールもその1つです。
このようなバラはクライミングとかクライマー(Climbing、Climber)と呼ばれ、略してCLと表記されます。
上の写真の羽衣もクライミングです。特徴は太くて硬いシュートがビューンと上に向かって伸び、花は比較的大きめの品種が多いです。
このモダンローズのクライミング以外にも、オールドローズにも枝が長く伸びるタイプが沢山あります。
また、ランブラー(Rambler)と呼ばれ、花は小ぶりなものが多いですが、枝はしなやかでとても長く伸びるタイプのつるバラもあります。
ランブラーの中には10m前後になるものもありますが、枝が比較的細くてしなやかなので、シュートは横に倒れるように伸びます。
さらにクライミング・ミニチュア(Climbing Miniature)といって、ミニバラのつる性タイプもあります。
また、ちょっと反則ですが、半つると言われるバラもあります。
こちらは英語ではシュラブ(Shrub)といい、イングリッシュローズに多いタイプです。比較的枝が長く伸びるので、つるバラとして使うことができる品種が多いです。
このように、一言で「つるバラ」と言っても様々なタイプがあるので、植える場所や環境に合わせて、無理のない品種選びをするのが良いと思います。
クライミング(Climbing/Climber)
つるアイスバーグ
ハイブリッドティーやフロリバンダの枝変わりから生まれたつるバラ。
中輪から大輪の存在感のある花を付け、剛直なシュートを上に向けて伸ばします。
日当たり良好で環境の良い場所に植えると大きく成長し、何本もの長いシュートに沢山の花を付ける姿は圧巻です。
多くの品種がかなり大きめのアーチやオベリスク、壁面を覆うのに適しています。
ただ、トゲも大きく鋭いものが多いです。枝が硬いものが多いので、細かい誘引には向いていません。
低いフェンスの前に植えてしまうと、誘引時はよいのですが、花後に伸びてくるシュートに支柱を立て、しつけをしておかなければならないので結構見苦しく手間です。
鉢植えにして抑え気味に育てる方法もありますが、やっぱり庭に植えてダイナミックに仕立てるのが向いていると思います。
個人的には一番難易度が高いつるバラのタイプだと思っていますが、中には比較的扱いやすい品種もあるので、個別に確認しましょう。
ランブラー(Rambler)
ギスレーヌ・ドゥ・フェリゴンド
房咲きの小輪から中輪の花を枝いっぱいに付け、細めで長くしなやかなシュートが倒れるように横に広がるタイプのバラです。
ランブラーは使い勝手がよく、大きめのアーチやオベリスク、壁面だけでなく、柔らかさを生かして低いフェンスや細やかな誘引ができます。
初めてアーチにつるバラを誘引するなら、このタイプが扱いやすいと思います。
丈夫で花付きもよく、手入れのしやすさから言えば、個人的にはおすすめのつるバラです。
品種によってはトゲが少なめのバラもあります。
ただ、シュートがとーっても長く伸びる品種があるので、後で困らないように確認しておきましょう。
クライミング・ミニチュア(Climbing Miniature)
レッドキャスケード
ミニチュアローズの枝変わりからできたものも多く、花はミニバラです(^m^)
ツル伸びは2m前後のものが多く、細いので誘引もしやすいです。
ただ細かいトゲがあるものが多いです。ミニと言っても油断できません。
このタイプは狭いお庭やベランダなど、限られたスペースでつるバラを楽しみたい場合にとてもおすすめです。
低いフェンスやトレリスなどに誘引するのにとても適しています。
育ててみた品種
わが家に植えてあるバラは、ほとんどがつるバラなので、様々なタイプがあります。
純白が美しく、丈夫で育てやすい"つるアイスバーグ"や、"ルージュ・ピエール・ド・ロンサール"、"ジャスミーナ"などなどです。
つるバラを探す
探し方のポイント
安曇野(ハイジの村にて)
つるバラを選ぶなら、やっぱり実物を見てから決めるのが一番です。近くにバラ園やバラが植えてある公園などがあったら是非行ってみましょう。
本やカタログ、ネットなどで気に入ったバラを見つけた時もできるだけ実物を見に行くのがよいです。
現地では、枝ぶり、シュートの長さ、トゲの大きさなどをまずチェック!それからできたら花の咲く向きも見てみましょう。
バラによってはステム(シュートから出る花の付く枝)が細長く、花の重さでうつむき加減に咲くものもあります。
こういうバラはアーチなど、高い位置に咲かせて下から眺められるような仕立て方に向いています。
気に入ったバラをいくつかリストアップしたら、バラ図鑑やネットのバラ専門店などでそのバラを探し、もう一度特徴を確認。
多くの場合、どんな仕立て方が向いているか、耐寒性・耐暑性、耐陰性はあるかなどの情報が載っています。
実物を見ることができない場合は、個人のブログやホームページなども参考にし、実際にどのように咲いているのか画像で確認できればベストです。
つるバラは、誘引次第で自分好みの個性的な庭を演出することができる魅力的なバラです。ただタイプによって全然性質が違うので、よく吟味してから決めましょう。
ピエール・ド・ロンサール(ハイジの村にて)
また、どこに誘引するのかも決めておくことが大切です。
壁面などの広い面積をカバーしたい、アーチやパーゴラなどで立体的に演出したい、オベリスクやポールに巻き付けたいなど。
フェンスの場合は、その高さも重要です。
それから、小さなお子さんのいるご家庭では、バラのトゲはとても危険です。
ほとんどトゲのないバラもいくつかあるので、そのようなバラを選んだほうがよいかもしれませんね。
ピックアップ
楽天市場からバラ専門店「バラの家」さんのつるバラの大苗をピックアップしてみました。種類が豊富で説明もしっかり載っていますので、ご参考にどうぞ!
画像をクリックするとショップの商品ページが表示されます。また、カラー別の丸いアイコンをクリックすると、カラーの系統別に表示されます。最初は白系のつるバラが表示されています。(カラーはショップでの色分けです)